MBA留学は起業に役立つ?役立たない?起業目指す人のMBA留学について考える

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アメリカ1年制MBA

MBA留学の目的は人それぞれです。その中で一定数いるのが起業を目指してMBA留学する人。大学側も起業に関連した授業を用意し、その人たちの要求に答えています。僕も実際に起業に関連した授業をいつくか受けました。

ただ、起業を目指す人にとってMBA留学は最適な選択肢でしょうか。今回はMBA留学は起業に役立つか、役立たないかについて考えていきたいと思います。

尚、日本語の「起業」はスタートアップとスモールビジネスの両方を指します。スタートアップはUberやメルカリなど、急激に成長することを意図してつくられるものです。もちろん、ほとんどが成長せずに失敗に終わります。ただ、失敗する可能性が高いですが、当たれば大きいです。

一方でスモールビジネスは街の洋菓子屋さんなど、自分で生計を立てながら少しずつ着実に成長させていく意図でつくられるものです。失敗する可能性は低いですが、当たった時のリターンがそれほど大きくありません。

この記事では「起業」を前者の「スタートアップ」という意味で使います。

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MBAで学べること

まずは、起業に関してMBAで学べることをみていきましょう。多岐に渡りますが、大きく分けて3つに分類されると思います。

  1. フレームワークを利用したスタートアップの作り方
  2. スタートアップファイナンス
  3. 投資家へのプレゼン

1、フレームワークを利用したスタートアップの作り方

MBAで学ぶことはほぼ全てフレームワークがあります。スタートアップの作り方で使うのが、リーンキャンバス。MBAの授業では、リーンキャンキャンバスに沿ったスタートアップの作り方を学ぶことができます。

もう少し詳しく説明すると、良いアイデア(課題)の見つけ方、アイデアの検証方法、アイデアの育て方、最初のマーケットの選択、規模拡の仕方、そしてIPOに至るまで、各ステップで使う技法や理論を学ぶことができます。

2、スタートアップファイナンス

スタートアップはまだ利益の出ていない段階で資金調達をしなければなりません。そのため資金調達の方法やバリュエーション方法が他の企業とは異なります。

まず、資金調達に関して通常の企業であれば借り入れや社債、株式の発行を通して資金調達をします。一方で、スタートアップはベンチャーキャピタルやエンジェル投資家といった人たちから資金調達をします。

そして、資金調達のタイミングがだいたい決まっています。ラウンドと表現され、シードラウンドからシリーズCラウンドまで、会社の成長フェーズに合わせて資金調達していきます。

他にも、各ラウンド間で資金が枯渇したときのブリッジファイナンスの手法。トークンを使った資金調達方法など学べます。

バリュエーションに関して、通常の企業であれば事業がキャッシュを継続して生み出しているのでEV/EBITDAやDCF法を用いてバリュエーションができますが、スタートアップは事業開始前のためDCF法は使えません。

代わりに、VC法やスコアカード法を用いてスタートアップのバリュエーションは行われます。MBAの授業ではそれらを学べます。

3、投資家へのプレゼン

投資家へのプレゼンの経験をできます。投資家へのプレゼンもある程度フレームワークが決まっています。マーケットは?ソリューションは?競争力は?ビジネスプランは?財務計画は?マネジメントは?などを端的に順序よく盛り込まなければなりません。

授業ではスタートアップ経験豊富な教授やベンチャーキャピタリストの前でのプレゼンを経験できます。そしてQ&Aで鋭い質問を受けたり、フィードバックを受けたりできます。

本当にMBAで学ぶべき内容か?

これらの知識や経験は確かに起業するのに役立ちます。しかしながら、MBAでしか学べないものでしょうか。

僕は自分である程度身に付けられると考えています。理由は内容はそこまで複雑ではないので、この程度であれば本で学ぶことができからです。また、投資家へのプレゼンも自分で練習すれば身につけられるものと考えます。

それよりも、起業で本当に必要な知識や経験はもっと別のものと考えています。

起業に本当に必要な知識

起業に本当に必要な知識はMBAで学ぶようなフレームワークや小手先の技術ではありません。それよりも大きくわけて、以下の3点に分類されると思います。

  1. 自分の顧客に関する知識
  2. 自分のプロダクトに関する知識
  3. 自分のビジネスに関する知識

1、自分の顧客に関する知識

起業したい人でアイデアが全くない人はいないでしょう。みんな最低でも漠然としたアイデアを抱えていると思います。ただ、どのように動けばいいかわからず行動に移せていない人がほとんどではないでしょうか。

それでしたら自分の頭の中で考えるよりも、MBAで学ぶよりも、家を飛び出して顧客の声を聞きましょう。課題を抱えてる人、その業界の人、アリーアダプターになり得る人にインタビューを何度も繰り返して、自分の考えている課題の質を検証して高めていく。そうすれば、どのように行動すればいいか少しずつ見えてくると思います。

課題の質を高めたら、自分の考えたソリューションが顧客の課題にフィットしているかの検証を行います。そして実際にプロトタイプを作成して、さらに顧客の課題解決にフィットしているか検証します。

このように、スタートアップのアイデアを育てるには顧客をよく知ることです。顧客をよく知るためには、顧客の話を聞くこと。それはMBAで学ばなくともできるはずです。

2、自分のプロダクトに関する知識

次に必要なのが、自分のプロダクトに関する知識です。MVP(必要最小限の機能を持ったプロダクト)を投入して、自分のプロダクトの中でどこが顧客に受け入れられ、どこが不必要か、またはどこが改善が必要か計測します。

それを素早く何度も繰り返して学びを蓄積し、自分のプロダクトに関する知識を高めて、多くの顧客に受け入れられるプロダクトを作ります。

MBAで学ぶ時間があればMVPの投入して、計測して、学習するループを何度も繰り返して、自分のプロダクトに関する知識を高めた方がいいでしょう。

3、自分のビジネスに関する知識

自分のプロダクトの市場投入後は規模拡大(スケール)する前に、ユニットエコノミクスの健全化を目指します。具体的にはLTV(顧客生涯価値)を高めて、CPA(顧客獲得単価)を下げることです。

それぞれ以下の計算式で求められます。

  • LTV = 顧客1人あたりの月間利益  /  解約率(チャーンレート)
  • CPA = 顧客獲得にかかる費用  /  新規顧客獲得数

上記の式から、LTVを高めるためには顧客1人あたりの月間利益を高めるか、解約率を下げるかのどちらか、もしくはその両方。CPAを下げるには、顧客獲得にかかる費用を下げるか、新規顧客獲得数を上げるかのどちらか、もしくはその両方です。

どの数字を改善すればいいか、どのように数字を改善するかは、自分のビジネスモデルやビジネス環境により異なります。適切な施策をうつためには、自分のビジネスに関する深い知識が必要です。そのためMBAで小手先の技術やフレームワークを学ぶよりも、自分のビジネスに関して深く知ることが大切です。

MBAで学べることと、起業に本当に必要な知識が違う

このようにMBAで学べることと、起業に本当に必要な知識が違います。

起業は「こうすれば成功する」という解はありません。100のビジネスアイデアあれば、それぞれやり方を変えなければなりません。自分のアイデア(課題)の正しさ、ソリューションの正しさ、プロダクトの正しさ、ビジネスモデルの正しさはMBAでは教えてくれません。それらを教えてくれるのは顧客であったり、自分のプロダクトです。

一方でMBAで学べることは、起業をする上で必要な知識です。ですが、本を読めば簡単に学べることばかり。MBAで学ぶ時間とお金があれば、顧客の声をたくさん聞くべきだと僕は考えます。

結論

結論は、起業を目的にMBA留学へ行くのはおすすめしません。理由は、MBAで学べることと、起業に本当に必要な知識が違うからです。

起業を目指す人はMBA留学をせずに、今すぐ起業しましょう。

最後に

「起業を目的にMBA留学をするのはおすすめしません」とこの記事では結論付けました。それは、起業を主目的にMBA留学するのはおすすめしないという意味です。

MBA留学自体は学べることが多いです。新しい出会いもありますし、何より楽しい時間を過ごせます。MBAでビジネスを体系的に学びたい、異国の地で頑張ってみたい、そして起業のことも学べたらいいなという人はMBA留学へ行くことを強くおすすめします。そして、あなたの人生がより豊かになると思います。

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